2021年の東京都私立中「のべ」出願者数1位は広尾学園小石川、2位は都市大付でした。
2022年も広尾学園小石川は順調に出願者数を伸ばしていますが、一方で都市大付が前年から大きく巻き返しており、1/28時点の出願者数をもとに算出すると、両校とも総出願者数は4,000人程度になりそうです。
出願者数の予測の前に
以下、少しだけ補足です。
出願倍率と実質倍率について
受験生の立場では、「出願者数」(応募者数)よりも「受験者数」の方が影響あります。
更に、合格後に入学辞退する受験生がいるため、「合格者数」は「募集定員」よりも多くなります。
- 出願倍率:「出願者数」を「募集定員」で割った値
- 実質倍率:「受験者数」を「合格者数」で割った値
極端な例では、2022年の栄東A日程は、出願倍率は50.2倍、実質倍率は1.47倍になります。
以下の記事で、もう少し細かく説明しています。
出願倍率は2/6午前7:00の都市大付の出願締切にて概ね確定する一方、実質倍率は多くは2/11頃から発生する繰上合格の影響により合格者が変動するため、正確な数値は暫く確定しません。
そのため、学校の人気を示す先行指標として「出願倍率」が使われています。
出願者数の取得元
直近の出願者数は広尾学園小石川、都市大付ともに、学校ホームページで公表(日々更新)されています。
上記に加え、今回は日々の出願者数の確認は市進「中学受験情報ナビ」、2020年の出願者数および帰国生入試の出願者数は日能研「倍率速報」のデータから取得しました。
2021年の東京の出願者数ランキング
以下、森上教育研究所による「2021年の東京都私立中学の志願者数ランキング」という記事です。
おそらく、上記記事、1度は見たことのある方も多いのでは?と思います。
結局は以下を満たす学校がランクインするように思いますが(豊島岡は例外)。
- R4偏差値55近辺(ボリュームゾーン)
- 試験回数が4回以上
- 何回受けても受験料が(ほぼ)同じ
今回、この記事を参考に予測記事を作成してみます。
なお、今回は参考にしませんが、森上教育研究所による最新の出願状況の記事は以下です。
あと、広尾学園小石川については以下が参考記事になります。
前置きはここまでです。
ここから文体が変わります。
以下の記事はダイヤモンド社も森上教育研究所も関係ございません。
東京「私立中学」出願者数ランキング、広尾学園小石川と東京都市大付の一騎打ちに
東京にある私立中の「のべ出願者数」ランキングをお届けする。
複数の入試がある学校はその合計値を使用したことから“のべ”とした。
これは併願先としての人気を考えてそうしたのではなく、1人の受験生がいくつの日程で出願したか、は公開情報からは判別できないからだ。
出願者数ベースで見た「のべ出願者数」
2022/1/28時点のデータをもとに、各入試の出願者数(志願者数)の合計を「のべ出願者数」として以下にランキングした(図1)。以下、 「のべ」 ではない出願者数は取得できないため、「のべ」は外して表記する。
(図1)東京私立中学出願者数ランキング
青字は男子校、赤字は女子校、黒字は共学校
暫定 順位 | 昨年 順位 | 学校名 | 出願者数(人) | ||
2022年 1/28時点 | 2021年 | 2022年 1/28時点 | 2021年 | 2020年 | |
1(↑) | 2 | 東京都市大付属 | 3,478 | 3,534 | 3,771 |
2(↓) | 1 | 広尾学園小石川 | 3,221 | 3,801 | – |
3(↑) | 5 | 開智日本橋 | 2,412 | 3,010 | 2,804 |
4(↓) | 3 | 広尾学園 | 2,278 | 3,494 | 3,457 |
5(↑) | – | 安田学園 | 2,220 | 2,366 | 1,896 |
6(↑) | 7 | 豊島岡 | 2,218 | 2,819 | 2,879 |
7(↑) | 8 | 山脇学園 | 2,003 | 2,669 | 1,921 |
8(↓) | 4 | 日大豊山 | 1,994 | 3,012 | 2,241 |
9(↓) | 6 | 三田国際学園 | 1,978 | 2,850 | 3,109 |
10(↓) | 9 | 青稜 | 1,971 | 2,553 | 2,121 |
男子校が2校、女子校が2校、共学校が6校ある。
中でも、昨年2位の東京都市大学付属(世田谷区)と、昨年初登場1位の広尾学園小石川(文京区)が、1/28時点で3位以下を大きく引き離している。
以下、この2校について補足する。
東京都市大学付属(暫定1位)
東京都市大学付属は昭和31年に武蔵工大付属として中学が設立されており、新興校でも伝統校でもない位置づけになるが、午後入試を他校に先駆けて本格導入し、ここ10年は常に東京の出願者数で上位に位置する。
前年は、例年なら学校説明会などのイベントで大量の公開情報冊子とともに配布して受験生のリサイクル精神心を掴む、ゆるキャラ「としまろ。君」グッズを配布できず、また、少なくともどこかの新興校よりは全然学校が広いこともアピールできなかった等の理由により、1位の座を明け渡した。
今年は前年の反動に加えて、早慶など私立大学への合格実績が見直されたためか、Ⅱ類で前年比3割増の出願者数で推移しており、1/28時点では出願者数第1位に復活している。
なお、都市大付を受験する際には、開始・終了を知らせるチャイムが独特の音色である点は注意されたい。
また、算数の小問集合を確実に抑えることが肝要であるが、答を「1:1」と書くべきところを愛校心のまま「100:100」と書かないように受験生には事前に指導しておきたい。
広尾学園小石川(暫定2位)
2022年も1/12出願開始当初は、順調に出願者数を伸ばすことが想定された。
ただ、その後は2/1午前のみ出願者大幅増となる一方、それ以外は微増程度で推移している。
リアル学校説明会などのイベントで誰もが思い知るであろう、校舎全体、教室の狭さや少なさ、昼食環境の悪さ(近くのコンビニも潰れ、ginko hallという別名のある廊下で飲食する生徒もいる)は織り込み済の受験生が多いが、昨年と大きく違うのは、どこかの大手塾が昨年の入試での大惨敗を既に経験していることである。
この大手塾では、顧客のメールアドレスのデータは28万件以上蓄積できている割には、広尾学園小石川のデータが2021年も全然蓄積できておらず、R4偏差値の信憑性に疑念が残る中、昨年の華麗なる実績を知る受験生側が敬遠方向に動いていることが想定される。
最終的な出願者数は両校ともに4,000人程度で拮抗か
本稿は2022/1/28時点で執筆しており、現時点での出願者数は以下の通りである。
- 都市大付:3,478人
- 広尾学園小石川:3,221人
このあと広尾学園小石川は2/3 23:59まで、都市大付は 2/6 7:00まで出願可能である。
ここで多変量解析により両校の最終的な出願者数を予測することも検討したが、広尾学園小石川のデータがまだ十分蓄積されているとは言えないため、止むを得ず、以下の簡易的な手法で予測を行った。
2021年は、1/28以降の出願者増加数は以下であった。
- 都市大付:449人(2021/1/29~2021/2/6)
- 広尾学園小石川:781人(2021/1/29~2021/2/3)
従って、単純にこれを加算すると、両校の総出願者数は以下となる。
- 都市大付:3,478+449=3,927
- 広尾学園小石川:3221+781=4,002
実際には、1/28以降の出願者増加数(両校とも2/3以降の駆け込み出願あり)について、昨年を下回る想定は現実的ではないため、あとは都市大付がどこまで好調を維持できるかによって、総応募者数1位がどちらの学校になるかは決まるであろう。
いずれにしても、この2校の出願者数は4,000人に迫る、または超過することは確実である。
なお、図1のランキングでは、応募者数7,000人を集めた「私立恵比寿中学」(渋谷区)という女子校は除外させていただいた。選考方法が他校と著しく異なるためである。
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